機械じかけの王国 作者:流悠ちか様/掲載サイト:ラズベリータイム
(テキスト)/番外編/設定資料
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あらすじ
 深い森の中、天才少女科学者アイラとその父グロウラー博士の手により、世界初の自律型ロボット『ドール』が開発された。
 アイラはその後も感情を持つロボットの青年フェッセンデンを側に置き、次々に『ドール』を作り出していった。一体一体を丹精込めて自らの手で作り上げた『ドール』は、どれも開発者にとっては子とも思えるものだった。
 しかし博士の親しい仲間を招待したパーティーの日、アイラは何者かに銃で撃たれ、重傷を負う。――そして、目覚めたアイラに告げられた、一つの冷酷な事実があった。
感想
 私は結構、恋愛物が好きです。この「機械じかけの王国」もそのうちのひとつ。アイラとフェッセンデン、人間とロボットの恋に、胸が熱くなること請け合いです。さらには研究一筋で、はじめフェッセンデンへの気持ちがなんなのか分からなかったアイラがとても可愛らしい。
 心を持つロボット……フェッセンデンは、そんな生き物です。その心が持つ愛情は、創造主であるアイラに向かい、決して越えられない壁に隔てられた二人の関係はとにかく切ないの一言……私は特に、こういう関係に弱いのです。
 ロボットが意思を持つって、いったい、どういうことなんでしょう。
 人間と同じように思考する。学習する。でも……ふと自分を見てみれば、からだは冷たい機械。人工の皮膚が裂ければ、露出するのは(おそらく)無数のコード。血は流れない。人間の身体の仕組みについても熟知していながら、自分はそれを持っていない。……それって、どういう気持ちなのか、私には想像することしか出来ません。私は人間だから、血を流したこともあれば痛みだって感じる。周囲の環境に簡単に左右されて体調崩したりも、する。
 でもロボットにはそれがない。それを幸せだと思うかはその人次第だけれど、少なくとも私は嫌。
 感情はある。なのに痛みを感じられない。痛みを知らない、ロボット……でもまあ、実はフェッセンデンには痛覚はあるのですが。
 フェッセンデンに痛覚があったとしても、きっと、大切な人が傷つく方が、ずっと痛い。その対象は、彼にとってはきっとアイラなのでしょう。アイラが傷つくのを見ていられない、その思い。思わず泣きそうになってしまうほどのものでした。
 機械と、人間。その間に芽生えた愛。どこにでもありそうなテーマですが、この作品ではそれが痛いほど切なく表現されています。少なくとも……私は、痛かったんです。
キャラクター語りフェッセンデン
 この作品、私が一番愛しいと思ったのは、最初に作られた『ドール』の青年、フェッセンデン。彼が見せるアイラへの気遣い、愛情、どれをとっても私の心に迫るものばかりでした。
 もともと、機械と人間の恋、といった感じの物語は好きなんです。「機械じかけの王国」を最初に読んだのも、それが理由でした。
 フェッセンデンは、アイラに作られた機械です。アイラは彼にとって、マスターです。でもそれを越えてフェッセンデンはアイラに好意を抱くようになった。大切に、護りたい……この思いは人間も機械も変わらない。大切な人にいつまでも笑っていて欲しいのは、つらい思いをしないで欲しいのは、同じ。そのために自分を犠牲にするっていうのも、そういう感情を持っている人にとってはごく当たり前の行動なのでしょう。
 私が切ないほどの恋愛が描かれた物語を好む(そればっかり、というわけではないけれど)のは、やっぱり自分は到底こんな恋は出来ないと分かっているからだと思います。「物語の中だけのもの」、というのは本当に存在して、今の世界で、相手のために自分を投げ出せるほどの強い愛情を見つけるのは難しい。私はせめて、物語の中だけでもそれを求める。……このお話を読んで、そう、思いました。
 フェッセンデンとアイラの関係、最初から最後まで、ずっと……嬉しいような気持ちで追っていって、フェッセンデンが機械の心で見つけた愛情が、とても、愛しかったです。

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