口喧嘩代行屋 | 作者:花畑べラドンナ様/掲載サイト:紅の城 (テキスト、html)/設定資料 |
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あらすじ 「口喧嘩代行屋」――世の人々のうらみつらみを暴力でなしに晴らすその特殊な職業が、周防征路の生業である。 えりすぐりの言葉でもって相手の急所をずばりと抉るその復讐方法は、彼の才能が間違った方向を向いて走っていった結果生み出されたものだった。 今回の依頼人は窃盗犯に入られたパチンコ屋の元店員、すべての責任を被せられて退職金もなしにやめさせられた哀れな青年……のはずなのだが、その青年、特技はピッキングと変装というとんでもない男。 依頼人に振り回されてばかりの周防だが、それも仕方ない。 こんな仕事でも入らなければ、彼は女性のヒモとして生きていくことになるのだから。 |
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感想 いや、っていうかおもしろいですって。 登場人物の平均年齢はわりかし高めな上、主人公が主人公(→人の心をぐさりとやる。持ち腐れてはいないが宝の使い方を間違えた男)ですから青春物のようなすかっとしたさわやかさは望むべくもないのですが、キャラクターの魅力も文章も中身と合っていて、本当にすらすらと読み進められます。……というより、むしろ止められません。 なんていうか……「お話」を思いつくのって、何かに触発されてだったり、たとえ何かの影響を受けていてもそれがどんどん変形していったりして、「思いつこう」と思ってすぐにひねり出せるものではないと思うんです。 そしてこのタイプのお話は、わたしだったら思いつけないものです。 普段現代物に手を出さないせいか、とても新鮮だったし、……何より、「口喧嘩代行屋」の今回の依頼人さん、吉永さんがものすごくいいです。いろいろな意味で。 サブキャラクターも……というかむしろわたしにとってはサブキャラクターこそがものすごく魅力的で、場を盛り上げる……主人公を引っ掻き回す存在なんです。その筆頭が吉永さんなのでした。 |
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キャラクター語り<吉永啓介> 彼は今回の「口喧嘩代行屋」依頼人の方です。 まず、登場の仕方が尋常じゃない。面白いと思います。詳しくは本編を読んでいただくとして、いやいったいあんたは何者だと突っ込みたくなるような初登場。 しかも特技はピッキングやら変装やらで、肌身離さずマイナスイオンブレスレットをつけているというのだからたまりません(笑)。しかも何色も持ってるらしい。 なんていうか、店長に盗難の責任を押し付けられて職を失ったとは思えない(というか、それをものすごくショックだと思っているとは思えない)すごい人です。好きです。読めばわかりますってか読まないとわからないかと……。 |